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「キッチンな人」の日常

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津田沼コーポ

築25年、駅近にも関わらず間取りが古いため、入居者がなく2年ほど空部屋になっていた賃貸アパートの改装。
全部屋間取りが違うが、共通するコンセプトは「玄関からの長い距離を歩かせること」。その歩いた距離により空間を広く感じることが出来る。そして、壁に小窓を付けたり、角部屋ではナナメの壁を巧く利用することにより、見え隠れする空間の広がりが感じられるように工夫している。加えて、天井高を

(左)とにかく長い廊下が欲しかった。玄関からクランクして廊下を進むと、空間の一番奥の窓が眼に入ってくる。ここで我々の頭の中では空間の大きさを把握し始める。しかし、その途中右側の壁に小窓があり、壁の向こう側の空間が意識される。その反対側にはなにやら、仕掛けがありそうな部分がある。ここは、壁の中にキッチンが埋め込まれ、使わないときには壁と同化させたロールスクリーンにより隠されている。そして長い廊下を抜けると、横幅一面の窓と2.7mまで高くした天井によって一気に視界が解放される。振り返るとそこには、今通ってきた、楽しげな細長い空間がある。そう、そこは『路地(alley)』だったのだ。路地が持つ、通ることの楽しみ、ワクワク感を一枚の壁によって室内空間の中に再現してみたかったのだ。

(右)この部屋は角に位置し、敷地の関係で一辺が斜めにカットされている。ここでも、部屋のもっとも長い距離をあえて見せるたり、玄関から長い距離を歩かせることにより、決して広くない空間を広く感じさせることに成功している。写真中の左の壁は水回りを含むブロック壁で、予算の関係で残したのだが、外に面した斜めの壁と軸がずれることにより、いっそう距離を感じさせ、不思議な感覚をおぼえる。他の部屋もそうだが床材には防音のことも考慮し、工務店と相談の上、もっともコストを抑えられるコルクタイルを採用している。中でも一番グレードが低いベーシックな商品を選んだが、シートの色ムラが激しく、それがかえって大理石貼りのような雰囲気を醸し出している。

photo by STUDIO KAZ