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re-apartment/kos
築40年の公団型集合住宅。お子様が独立された60代の女性が独りで生活されるための住まいのリノベーション。施主からはワンルーム空間がいいこと、布団や座卓など床中心の生活をすること、掃除がしやすいことなどが要望としてあげられた。
48.6㎡と決して広くない専有スペースに、水回りを囲むように構造壁が存在する。加えてキッチンの壁出し水栓が隣室との界壁から出ていることもあり、水回りの位置はおよそ決まってしまう。
「ワンルームでいい」というリクエストではあるが、空調や来客時のことなども考慮し、引き込み式の引戸で二つのエリアに分割した。この3枚引戸は1:2に分かれて廊下の出入りも兼ねるため、夏場の風通しや冬場の暖房効率など、様々なシチュエーションに対応しやすい。
浴室は広さを考慮して在来工法も検討したが、メンテナンス性を重視して、ユニットバスを設置。元が変形のため生じた隙間はタオル等の収納に利用した。トイレも間仕切りをなくすことで開放的になると同時に、将来の介護も見据えている。
玄関にはベンチを設け、靴の脱ぎ履きの補助になるように考えた。そのベンチの上部に小さなガラス窓を設け、閉鎖的になりがちな玄関に光と風を導く工夫をしている。
また、東側の窓際にも本棚とベンチを設け、リビングの床とは違った居心地の場所を提供している。
仕上材の種類を極力減らし、艶を落として色を厳選したコーディネートとすることで落ち着いた雰囲気を作り出している。直天でダウンライトが設置できないため、綿密に配光計画をして位置決めしたシーリングライトやシーリングダウンライトを付けた。
引き渡し後に同じ素材でちゃぶ台も製作したことを付け加えておく。
photo by mariko yamamoto