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大島STUDIO
「大島studio」のキッチンである。3階すべてがリビング・ダイニング・キッチンのスペースに割り当てられたためキッチンは普段の生活空間の中に置かれることになり、あまりに「キッチン然」とした姿は空間の中に馴染めない。そこで、キッチンを最も「キッチンっぽく」思わせる吊戸棚、レンジフード、冷蔵庫の3つが見えないように配慮されている。また、業務用をアレンジして特注されたガスレンジは使い勝手もよく、様々な料理に重宝している。
アイランドに配されたシンク部分の天板は4mm厚のステンレス。素材感を大切にしたインテリアに合うように、薄板の折り曲げとせず、4mmの厚みをそのまま見せているが、『バイブレーション仕上げ』という仕上げを施すことにより、ステンレス独特のギラつきは軽減され、キャビネットのシナ合板に着色された色と合わせて、柔らかい印象を与えている。
冷蔵庫やオーブンなどは、コストの面からもビルトイン型とせず「納戸」に収納されるように計画されている。これらは将来の買い換えも考慮し、寸法的に余裕を持って計画されている。
イマドキのシステムキッチンに見られる、「便利な」機能をはできるだけ付けないようにしたのは、将来の改造などにも容易に対応できるようにしたためであり、そのおかげで、非常にシンプルで、気持ちがよく、創造力を掻き立てられ、なおかつ使い勝手がいいキッチンに仕上がった。
photo by Nacasa & Partners(左)、studio kaz(右)