学生の頃、好きな建築家の一人がALDO ROSSIでした。大学4年の3月、卒業制作の発表が終わった翌日から卒業式の前日までの約3週間、イタリアを放浪していたのですが、どうしても行きたかったのが、ミラノの『サンドロ・ペルティーニの記念碑』『セグラーテの噴水』『ガララテーゼの集合住宅』を見に行ったりもした。セグラーテとガララテーゼはミラノを中心として真反対に位置する。市内でレンタカーを借りていった。今思うとなかなか無謀だった。
大学を卒業して福岡を離れた翌年、福岡に内田繁氏プロデュース、アルド・ロッシ設計の『ホテル イルパラッツォ』が完成し、嫉妬した記憶がある。
ALDO ROSSIは建築家ではあるけれども(多くのイタリアの建築家がそうであるように)プロダクトも多く発表していて、特にALESSIのケトルやエスプレッソメーカーは多くの人が使っているだろう。そのALESSIからALDO ROSSIがデザインした時計が発売され、そりゃあ行っとくでしょ!!と意気込んでみたものの、当時の1ヶ月分の手取りくらいの価格に尻込みしていたが、結婚のタイミングで手に入れた。(後に復刻版が1/3くらいの値段で発売されたようですが、、、)
それが写真の『Momento』。
本体をフレームから外すことができ、同梱されているチェーン付きのフレームにはめることで懐中時計にもできるというもの。
それまでにも(大学の友人がシチズン時計に勤めていたので)多くの腕時計を所有していた。でも私の腕時計購入履歴もこのMomentoと同時に(いったん)終了する。目的を果たした感字がした。
10年くらい経った頃、夏の汗で革バンドのシミがひどくなり、日常では使用しなくなったのとほぼ同時期に、携帯電話がスマホに変わり、腕時計をしなくなった。
それから15年近くが経ち、久しぶりにMomentを出すと、当たり前だが電池が切れている。そこで銀座の時計店に持って行って電池交換を依頼すると「あ〜これはネジが錆びついて無理だね」と言われてします。
それでも諦め切れず、インターネットで探したオーバーホール専門店に持ち込んだところ、あっさり修理完了。費用はかなりかかったが上記のような思い入れがある時計。値段ではない。そのお店の売りは『新品仕上げ』と謳っており、ステンレスのフレームがヌメヌメとテカって帰ってきた。
というわけで10連休の真ん中あたり、相変わらず図面三昧の一日。