年内の予定(打ち合わせや現場、授業など)はすべて終わり、事務所に引き篭もりな一日。ずっと図面描いてる。
昨日の授業中、生徒さんたちは課題に勤しんでいるので、少し時間があり、以前から気になっていた「メーカーキッチンとオーダーキッチンの比率」を調べていたら木になる、、、じゃない気になる記事や論文を見つけた。
それぞれもっともらしいことを書いているが、内容に無理があったり、そんなの10年前から分かってることだったり、市場をどうにかしたいと口では(文字では)言いつつ、実際提案している中身は現状の延長、いや現状の説明でしかなかったり。
2017年のシステムキッチンの出荷台数は1,335,430台、←これはキッチンバス工業会の正式な公表データ。このデータでは「システムキッチン」と「セクショナルキッチン」の二種類だが、どこまでがシステムキッチンかの定義が曖昧。
住宅産業新聞の記事(2018.10.11.)によると『完成品出荷だけだと1,242,294台』ともある。これは単身用のミニキッチンも含んでいるのだろうか?
同じ記事では『高級品が59,378台(同7・1%増)、中級品407,376台(同1・8%増)、普及品497,885台(同6・3%増)』とあるが、ここでも高級・中級・普及の線引きがよくわからない。が、この3つの数字を足すと964,639台になる。上述の1,242,294台との差、277.655台はどこに行ったのか?これがミニキッチンということだろうか?
メーカーキッチンの台数を1,242,294台としてみる。
これはキッチンバス工業会に所属しているメーカーのデータであり、オーダーキッチンブランド、輸入キッチンブランドはここに参加していない。それらは単独で動いており、出荷台数などのデータはないと思われるが、推察することができる。
輸入食洗機の出荷台数を考えてみる。輸入食洗機のほとんどは輸入キッチンかオーダーキッチンでの採用だろう。3年前の輸入食洗機の国内出荷台数が約10,000台。そこから少し伸びていると想定しても約12,000台くらいか?
国産食洗機の出荷台数はというと『食器洗い乾燥機が464,143台で普及率は37.4%』だそうだ。食洗機の普及率って、そんなもん?って思ったが、464,143÷0.374=1,241,024なので、上記の1,242,294台に近い数字になる。ということは37.4%という比率は、単身用のミニキッチンや賃貸向けのコンパクトキッチンといった、まず食洗機を採用しないだろうキッチンも母数に含まれると想像できる。「普及品」がそこにあたるとして、高級品+中級品の466,754台を対象にしたら、99.4%が食洗機を採用していることになる。もしかして、卓上型も含まれてるのか?と思い、ビルトインと卓上型の割合を調べてみると、2016年の調査で79:21となっている。2003年当時は46:54だったことを考えると、急速にビルトイン食洗機の普及が進んでいると推察できる。少なめに見積もっても2017年は80:20と考えると、464,143×80%=371,314台。ということは466,754台の約80%はビルトイン食洗機を採用していると思われる。この割合をそのまま当てはめるのは乱暴だけど、上記の371,314台の食洗機が全て国産だと想定して、システムキッチン:オーダキッチン+輸入キッチンは96.9%:3.1%ということになる。最近はリノベを中心に、超ローコストのキッチン(=食洗機を搭載しない、もしくは国産の食洗機を搭載している)も増えていることを考慮しても、オーダキッチン+輸入キッチンのシェアは5〜7%程度だと推察。
これまでオーダキッチン+輸入キッチンのシェアは10〜13%程度だと思っていたので、まだまだメジャーではないんだなと思い知らされる。
同じ記事にこんなデータを見つけた。『電気式(IH)クッキングヒーターが360,688台で29・0%、ガスコンロが587,646台の47・3%と、ガス熱源のシェアが高い』と。
29.0+47.3=76.3である。残りの23.7%はどこに行ったのか?
ガス とIH以外の熱源で思いつくのはラジエントヒーターくらいしかない。まさか炭や薪ストーブなどは入れてないだろう。
ということは、23.7%はラジエントヒーター、つまり電気ということなので、熱源の比率、電気(IH +ラジエント):ガスは52.7:47.3ということになり、電気の方がガスを上回っているということになる。
世の中に溢れているデータは、改ざんやねつ造されていないにしても、それぞれの立場で四則演算が行われ、都合がいい数字が発表されている。
もう少し突っ込んだデータが欲しいな。
ま、要は、オーダーキッチンの普及はまだまだだ、頑張らなきゃいけないということだけは確かなようだ。